2016.5.3 博多~糸島~津屋崎
日本一周リレー旅、九州編(第3部)六日目です。
古の都、伊都国と大宰府をめぐり、謎の多い神社 福津市にある宮地獄にいく約80kmの行程の予定でしたが、急な嵐に遭遇して色々と予定変更した行程になりました。
6:30 出発(福岡市城南区)
高校時代の友人宅を出発し、伊都国の都があった場所、現在の福岡県糸島市を目指します。残念ながら、天候は思わしくありません。
7:30 日向峠(福岡市西区)
走り始めてしばらくは小雨でしたが、日向峠に差し掛かったあたりから雨足が強くなってきました。
日向峠は一説(異説?)によると、天孫降臨の場所とされているところで、天孫ニニギノミコトがこの峠を下って葦原の中津国に進軍したという話もあるそうです。もっとゆっくり堪能したいところですが、雨風がとても強くなってきて、命の危険も感じ始めたので急いで抜けます。
8:30 緊急避難(糸島市)
やっとのことで峠を下りましたが、風がとても強く自転車が吹き飛ばされそうなくらいです。雨も何か大きな塊がぶつかってくるようで、とても危険です。
とても耐えきれなくなり、近くの社の軒先に緊急避難。
しばらく待ってたら風もおさまってくれないかと待ちましたが、30分ほど待っても収まる気配がありません。でもここで時間をつぶすのももったいないので、そろそろ開館時間の伊都国歴史博物館に向かうことにします。
(※ 2016年当時はまだ雨雲レーダーの存在を知りませんでした)
9:00 伊都国歴史博物館
なんとか博物館に到着。
全身ずぶ濡れの恰好で入るのは憚られるので、受付の人に雨が弱まるまで自転車を中に入れて雨宿りできないか相談すると快諾いただき、さらに親切にもタオルも貸していただけました。体がとても冷えていたので助かります。
外はますます風がひどくなり、4階建てのコンクリートの建物が震えています。自転車を屋内に避難できてよかった。
まだまだ雨は収まる気配がないので、博物館を見学します。
もちろん客は私しかいません。
受付の人が、せっかくなので説明員の方つけましょうか?といってくださったのでお願いすることにしました。
そして、これが大正解でした。
初老の説明員の方は、歴史や遺跡、出土品にとてもお詳しい方でしたので、私も色々疑問に思っていたことなどを質問し、気が付けば3時間もみっちり説明していただきました。
以下、聞いたことメモ
- 社の千木の形で祀られているのが男神、女神かわかる
- 神社というのは、社よりも場所に意味がある
- なぜ貝塚で人骨がよく見つかるのか?答えはアルカリ性
- 鳥居の形は大きく2種類ある。出雲系と伊勢系
- 国宝の国内最大サイズの銅鏡。銅鏡の磨き具合で精巧さがわかる
- 王の墓から40枚以上の巨大な銅鏡が見つかる。魏志倭人伝に卑弥呼におくった100枚の銅鏡か
- ピアス。とても精巧で高度な技術が必要。そのような技術を持つ集団が伊都国にいた
- 硯。弥生時代にすでに文字を扱える文化があった。日本初?
本館も見尽くして、説明員の方から「まだ時間はありますか?」と聞かれたので「もちろん、あります!」とお返ししたら、さらに旧館までじっくり説明見学させてもらいました。重要文化財級の出土品が通路に雑然と置かれている様子は衝撃的でした。
でも、まだ雨はやみません。
このままでは先に進めないので意を決して、自転車は後日取りに来るという約束で建物の中に置かせてもらいました。
苦しい時の人の親切ほど、うれしいものはないです。
この日は写真をとる余裕がまったくなくて、少ない中謎の一枚。
写真データに残るGPS座標から、撮影場所は伊都国歴史博物館ですが、いったに何を撮ろうとしたのか思い出せません。
16:00 九州国立博物館(太宰府)
13時半ごろ博物館を後にし、雨の中バス→電車→バスと乗り継いで向かったのは九州国立博物館。ここには、伊都国歴史博物館から貸し出されている国宝の鏡など、九州各地で出土した国宝級の遺物が展示されています。
教科書で見た漢倭如国王の金印や火焔土器など厳重にケース内に管理されて展示されています。伊都国の博物館とは大違いです。薄暗い会場は格式が高そうな雰囲気で、ちょっとガイドを・・・なんて頼める雰囲気ではありません。
地方の博物館の方がそういう意味では良いですね。また、ほかの地域の博物館にもいきたくなりました。
閉館後外に出てみると、この晴れ具合。
今朝の暴風雨との落差がはげしいです。暴風だけに、嵐のように過ぎ去っていったようです。
今から伊都国博物館に戻ってもすでに閉館しているので、今日泊まる予定の福津市津屋崎まで、2時間ほどバスと電車の旅です。
19:00 到着(福津市)
今日の宿吉田屋に到着。
正直、海の家なので見た目も室内もお世辞にもきれいとは言えませんが、併設する居酒屋メニューと女将さんの人柄で泊まってよかったと思える場所でした。
玄関に入ると奥の方で宴会の声が。
少し待っても誰もこなかったのでどうしようかと悩んでいると奥の方から同世代くらいの女性がでてきて「同窓会の参加の方ですか?」と言われ、ああ、ここで同窓会やってるのかと納得しました。
少し待ってると宿の女将さんが出てきたので、今日は嵐で散々だったので先に風呂で温まりたいと話すと、それならすぐ近くに銭湯があるからいっといでとのこと。
歩いて数分の場所にある「潮湯の里夕陽館」。潮湯という名の通り海水を温めている温泉で、地元の人で賑わっています。この時期、海の家に泊まりに来る人はほとんどいないようです。
風呂でさっぱりしたあとは、居酒屋も兼ねている(というか、こっちがメイン?)宿の晩御飯。居酒屋の席に膳が用意されているとのことで、そちらに移動。
海沿いで人気は少ないはずなのに店内は6割ほど席が埋まっています。ほぼ、社会人のおじさんばかり。これは料理に期待できます。
津屋崎の海の幸に、たこの天ぷら、煮物など居酒屋メニューをいただいていると、女将さんやお手伝いの方が入れ替わり立ち代わり、旅の話を聞きに来ます。とても人懐っこい方々で、私の旅の話を興味深そうに聞いてくれました。
奥の座敷では同窓会のメンバーがカラオケ大会をしています。奥田民生の「イージューライダー」が聞えてきます。私も大好きな曲です。というか、私と年が近い方々なのでしょう。
ちなみにこのお店は、以前NHKのドラマのロケ地になったりと、地元では有名な店と女将さんの様です。店の中のシーンで、松田翔太と宮本信子に交じって、奥の方でエキストラ出演されたようです。
女将さんはとても個性的。一言でいえば女性なのに男気を感じました。酔ったお客さんのために、自分の車で送迎してあげたり、なんて親切なんだと思いました。
そんな、温かくて男気のある女将さんが切り盛りする宿で今回の旅の最後の夜を迎えます。
今日の宿泊客は私一人だけ。
いつのまにか同窓会もお開きになったようです。
静かになった宿で一人、津屋崎の海の波の音を聞きならが眠りにつきました。
本日の記録
- 走行距離:14.2km + バス、電車
- 所要時間:13.5時間
- 総走行距離:2148.8km